セールス活動においては、相手の悩み・問題・フラストレーション・要望など、ニーズを把握して、それを満たす提案をすることが重要です。自分の商品・サービスの説明やメリットを一方的にアピールするだけのセールストークでは、契約を勝ち取ることは難しいでしょう。なぜなら、お客様は商品が欲しいのではなく、願望や悩みの解消のために商品を買うからです。では、顧客のニーズを的確に把握するためにはどうすれば良いでしょうか。そのカギとなるのが「質問」です。
「あなたの悩みは何ですか?」と聞いても、いきなり深い悩みを打ち明けてくれる人などいません。関係性にもよりますが、一方的に質問すると、尋問のようになり、相手を不快にさせてしまうこともあります。どうすれば相手の本心を引き出せるのか、まずはヒアリングの4つのコツをご紹介します。
ヒアリングのコツ1:ペーシング
ペーシングとは相手の会話にペースを合わせるテクニックです。ゆっくり話す人に対して、早い口調で質問をしてしまうと、急かされるように感じて話しにくくなってしまいます。相手が話しやすいように、会話のペースを合わせるように心がけます。
ヒアリングのコツ2:相槌を打つ
適度な相槌は、ちゃんと聞いてくれているという印象を与え、話しやすくなります。肯定してもらったり、驚きのリアクションをしてもらうと、人は安心したり嬉しかったりするものです。相手に対して関心を持つことが大切です。
ヒアリングのコツ3:「なぜ」で深掘りする
ただ聞いているだけでは、お客様の本心や、本人もまだ気づいていない潜在ニーズに辿り着くことは難しいです。相手の言葉に対して「なぜ」の質問をすることで、より深い心の内を聞くことができます。
ヒアリングのコツ4:オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
質問の仕方には2種類あります。呼び名の通り、答えの幅が広いオープンクエスチョンと、イエスかノーか、三者択一のように、答えの幅が限定されるのがクローズドクエスチョンです。これらを使い分けることで会話自体にリズムを作ることができ、話しやすくなります。
セールスを一切感じさせずに成約を勝ち取る7ステップ
これからお伝えする7ステップは、一切売り込むことなく受注を勝ち取ることができる強力な方法です。これまで聞いたことがない話で驚くかもしれませんが、すでに多くの方が実証し、高確率を叩き出している手法の1つでもあります。早速、解説していきましょう。
ステップ1:相手の現状の把握
まずは相手の現状にフォーカスして、願望や悩みを聞きます。商品をいきなり言うのではなく商品の「先にある」願望や悩みを聞き出してしまえば、最後に商品に繋げることはさほど難しいことではありません。ただ、最初に出てきた言葉は、表面的な悩みであることが多いです。いろんな角度から本当の悩みやフラストレーションを探っていきましょう。
ステップ2:現在の取り組み
次は、その願望や悩みの解決のためにどんなことに取り組んでいるかを聞きます。例えば、ダイエットして痩せたいという願望があれば、エステに行く、スポーツジムに行く、サプリメントを摂る、サウナに行くなど、さまざまな方法で願望を達成するための取り組みをしています。ステップ2ではどんな取り組みをしているかを確認します。
ステップ3:敵の発見
次は、敵を見つけます。これは今の取り組みがうまくいっているかを聞くだけです。例えば集客したいという願望に対してFacebookをやってみたという人に、それは上手くいってますかと聞きます。上手くいっている人はそれを続ければ良いのですが、多くの人は上手くいっていないと答えるでしょう。思ったように集客できていないとなれば、敵はFacebook集客法ということになります。敵が見つかれば、それを叩けば良いのです。
ステップ4:問題の根源
次は、悩み・問題の根源を探します。物事には必ず原因があります。なぜそれが上手くいっていないのか、深掘りしないまま、表面的な情報だけで商品を提案してしまうと、お客様には全く響かず、耳を塞がれてしまいます。思い込みや先入観を捨てて、お客様の言葉をしっかり聞きましょう。
ステップ5:解決策の提案
問題の根源がわかったら、その解決策を提案します。ここで間違ってはいけないのが、解決策と商品は違うということです。例えば、腰痛という悩みに対して、原因は骨盤が歪むことによるズレ、解決策はズレを修復し歪みを治すことになります。ここでは焦って商品を紹介しないことです。
ステップ6:興味の確認
次に聞くのは、その解決策に興味があるかどうかを確認します。悩んでいることの解決策に興味がないという人はいないと思いますが、もし興味がないと言ったら、そこで話を終えます。興味がない人に話しても時間の無駄になりますし、押し売りのようになり、印象が良くありません。
ステップ7:ベネフィットを語らせる
相手が興味があると答えたら、それはなぜかを聞いてください。すると、相手は「この問題を解決できたらこうしたい」というような未来を語り始めます。これをベネフィットと言います。ベネフィットを本人の口で語ってもらいましょう。こちらが話すと相手に説得を感じさせますが、本人が語ることによって、こちらは何も言わなくても自己説得を始めてくれるのです。これは非常に強力なテクニックです。あとはやってみたいかを聞くだけです。どうですか?売り込みを全く感じさせることなく、悪い印象も残さない最強の方法です。
セールスは「質問」ではない
トークが上手くないからセールスが苦手という人がいますが、この7ステップは話が下手な人の方が上手くいきます。セールスは喋りすぎると成約率が落ちます。説得になってしまい、相手に嫌な印象を与えてしまったり、情報を出しすぎて「自分でやってみます」と言われてしまうからです。話し下手だからセールスが苦手だと思っている人ほどこの方法をマスターして威力を体感してください。
もう一つ、セールスに関して多くの人が誤解していることがあります。セールスとは「質問」だと言われますが、実はここまで解説してきたことは「質問」ではありません。なぜなら「質問」は答えを広げてしまうからです。セールスは「質問」ではなく「確認」です。1ですか、2ですか、3ですか?2です。では、2のAですか?2のBですか?2のAです。といった具合に確認を通すことで答えをセグメントして絞り込んでいるのです。
これは、病院で医者が問診をするのに似ています。現状を把握し、問題を解消するために原因を特定し、経験則から適切な処置の提案をされます。セールスとは何かを売りつけるためではなく、見込み客の現状を把握し確認を通すことで問題の解決策を提案し、より良い未来を叶える選択肢を与えることです。選ぶのはお客様です。
まとめ:7つの確認ステップをマスターすることで成約を勝ち取る
ここまで悩み・問題・フラストレーション・要望(ニーズ)を引き出す質問について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- 顧客のニーズを的確に把握するためには「質問」がカギとなる。
- 7つのステップをマスターすることで、売り込みを一切せずに成約を勝ち取れる。
- セールスは「質問」ではなく「確認」
- 未来を叶える選択肢から、選ぶのはお客様である。