
商品の特徴も、サービスの内容も、他社との違いも伝えた。質問にも丁寧に答えた。それなのに、最後に返ってくるのは「よくわかりました。検討します」という言葉。商談を終えるたびに、「何を説明し忘れたのだろう」と資料を増やしていないでしょうか。
けれども、お客様に足りなかったのは情報の量ではなく、「自分にとって、なぜ必要なのか」という実感かもしれません。説明を理解することと、購入を決めることの間には、もう一つ対話が必要です。
こんにちは。ハイチケットクローザーの燿暢一魁(かがの・いさむ)です。私がまずお伝えしたいのは、「説明に納得すること」と「申込・購入すること」は別問題だということです。今日は、この違いを商談の場面に置き換えてお話しします。
商品のことはわかった でも自分のことはわからない
たとえば、ある講座について「動画が50本あります」「半年間質問できます」「個別面談が月1回あります」と説明されたとします。内容は理解できますが、それだけで申し込みたくなるでしょうか。
仕事が忙しくて学ぶ時間を取れない人なら、動画の多さは魅力より負担に感じられるかもしれません。過去に講座を受けても実践できなかった人なら、知りたいのは教材の本数より、「今回は行動に移せるだろうか」ということです。
売り手が商品の充実度を語っている間、お客様は自分の問題が解決するかを考えている。ここがすれ違ったままでは、詳しい説明を重ねても、購入する理由は強くなりません。
説明を増やす前に相手の場面を聞く
私が「北極星」と呼んでいるのは、お客様が向かいたい未来の道標です。これを商談で示すためには、売り手が理想の未来を勝手につくるのではなく、相手の言葉を聞くところから始める必要があります。
たとえば、こんな問いかけから始めてみてください。
・今、仕事のどの場面でいちばん困っていますか。
・これまで、どんな方法を試しましたか。
・その問題が解決したら、何ができるようになりたいですか。
答えを聞いてから、商品が役立つ部分を説明する。たとえば「動画が50本あります」で終わらず、「今お困りの商談準備については、まずこの教材から始められます」と結びつける。相手の事情を踏まえることで、同じ機能でも伝わる意味が変わります。
検討しますの後に残っているもの
もちろん、「検討します」がすべて説明不足というわけではありません。予算、時期、社内の決裁など、すぐに決められない事情もあります。その言葉だけで失敗と決めつけず、何を検討したいのかを確かめることが大切です。
「判断するうえで、まだ確認したい点はありますか」と尋ねると、比較したいのか、実施時期が合わないのか、効果に不安があるのかが見えてきます。答えを急がせるより、判断に必要な材料を一緒に整理するほうが、対話を前へ進められます。
説明を省くことが目的ではありません。料金や条件、サービスの範囲は明確に伝えたうえで、その人にとっての意味を置き去りにしないことです。
次の商談までに一文だけ書いてみる
次にお客様と話す前に、「この方は、何ができるようになることを望んでいるのか」を一文で書いてみてください。答えが曖昧なら、資料を追加する前に、聞くべきことがあります。
商品の説明が上手になるだけでなく、お客様が自分の未来を具体的に考えられる対話をつくる。その視点が、「わかりました」で終わる商談を見直す出発点になります。
電子書籍でさらに学ぶ
「説明はできているのに、なぜ決まらないのか」。その問いをさらに掘り下げたい方は、私の電子書籍『ハイチケットクローザー 1日で2億円売る技術』をお読みください。経営での失敗から、提案に向き合う姿勢、お客様が望む未来を示す考え方まで、私が経験してきたことをまとめています。次の商談を見直すきっかけにしていただければ嬉しく思います。