成約を勝ち取れない、売り上げが上がらない人に共通した理由があるのをご存知ですか? ビジネスの成否、売上を80%左右するとも言われるのが『リサーチ』です。それほど重要なリサーチを、多くの人がないがしろにして外しています。僕は年間10件以上のプロモーションで100万円を超える高額商品でも70%以上の成約率で取引を成立させてきました。この経験を元に、何をどうリサーチすればいいのか、考え方から具体的な調査方法まで詳しく解説します。
セールスと言えば、熱い提案や説得力が重要と思われがちですが、売るものがなくてはセールスできません。だからまず商品を作ろうと考えます。ですが、先に商品を作ってしまうと、その商品が欲しい人を探しに行かなくてはなりません。これは結構大変です。逆に、自分がターゲットとする市場の見込み客が、今、何を求めているのか?それを知ってから、要望に合致する商品を作れば、売れる可能性が高まります。その要望を知るために必要なのがリサーチです。
見込み客の悩み・願望をリサーチする重要性
商品づくりにおいては、リサーチが成功の鍵を握ります。リサーチを怠り、自分の思い込みやひらめきだけで商品を作ると、市場が求めるものとズレたり、競合他社に取り残されたりする危険性が高まります。そのため、大手企業もリサーチには膨大な労力や資金を費やして、徹底的に分析をしています。ここでは僕たち個人レベルでもできるリサーチについて解説します。
3C分析とは?
3C分析はマーケティングを学んだことがある人なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。これは商品づくりにおいて非常に有益なツールです。3C分析は、カスタマー(顧客)、カンパニー(自社)、コンペティター(競合他社)の3つの要素を詳細に分析するものです。この分析を通じて、次のような洞察を得ることができます。
顧客(カスタマー)
顧客のニーズや要求を理解し、それに合致した商品を提供するための情報を収集します。顧客の好みや嗜好、購買行動を分析することで、需要を予測し、市場に適した商品を開発できます。
自社(カンパニー)
自社の強みや弱みを明確にし、自社のリソースと能力を最大限に活用する戦略を構築します。自社の特長を活かし、競合他社との差別化を図ることができます。
競合他社(コンペティター)
競合他社の動向を分析し、市場でのポジションや競争力を評価します。競合他社の戦略や強みを理解することで、巧妙な競争戦略を立てることができます。
要するに、3C分析によって、売れる商品を創り出し、効果的なセールス戦略を展開しようということです。
3C分析の事例:美容院のオープン
例えば、あなたが美容師で、独立して美容院をオープンさせようとしているとします。するとまず、どこでお店を開くか、どんなお店にしたいか、価格設定はどうするかなど考えていくことになるでしょう。その時に必要な準備がリサーチです。
お店を開く場所を探すなら、美容院がたくさんある駅はどこでしょうか?仮に渋谷駅周辺だとすると、ライバルが多すぎて経営が厳しいかもしれません。では逆に、美容院がないエリアにお店を開くとどうなるでしょうか?ライバルがいないので、美容院に行きたい人を独占できるかもしれません。ですが、美容院に行きたい人がいれば…の話です。
仮にその場所に美容院が新しくできても、どの店も1年以内に撤退していく…という場所だったらどうしますか?自分の店ならうまくいく!と挑戦しますか?それとも、他に美容院の需要がある場所を探しますか?よほどお金が有り余っていて、暇つぶしをしたい人でなければ、当然、後者を選ぶと思います。お店を開くと考えると、後者を選択します。ですが、ネット上で商品を販売しようというときは、案外、前者をやってしまっている人も多いです。
「まだ日本で扱っている人はいない」「まだ誰もやっていない凄い方法を見つけた」そういう甘い話の時ほど、ちゃんとリサーチしてください。誰もやっていないというのは、お金にならない、商売にならないから誰もやっていないというパターンが大半です。ひらめきや直感などに頼らず、リサーチしてから冷静に判断してください。
顧客のリサーチは顧客に聞けばいい
顧客のリサーチとは、簡単に言うと、顧客層やニーズの調査です。自社の商品を購入してくれた人数、今後購入してくれそうな人、最終的に購入を決定する人の特徴や購入を決定するまでのプロセスなどを分析します。
美容院の例であれば、何歳くらいの人が、何人来てくれて、なぜこの美容院を選んだのか、どのようなニーズがあるか。今いるお客さんたちの属性、男女の割合や年齢層、職業などがわかれば、多い属性に向けた商品を考えることもできます。
一番早いのは、すでにいるお客さんに聞くことです。例えば、奥さんや旦那さん、パートナーさんが欲しいものがわからなければ、「何が欲しい?」って聞けばいいですよね。勝手に買ってきて「欲しくなかった」と言われるより、欲しいものをプレゼントした方が喜ばれます。
身近な人でもそうなのですから、ビジネスでお客さんになるかもしれない人なら尚更です。彼らの欲しいものをわからずに売りに行っても、買ってもらえないのは当然です。聞いてから差し出せば、買ってもらえる確率はかなり上がります。
ここで間違ってはいけないのが、「お客さんの声を聞く」ということです。お客さんとは、お金を払ってくれた人です。お金を払わない人はお客さんではありませんので、無責任に好き勝手なことを言います。それに耳を貸してしまうと、自分の方向性がブレてしまうことになりかねませんので、気をつけてください。
お金を払ってくれた人は、自分が買った商品やサービスがより良くなるのは嬉しいことなので、本音を言ってくれます。そういう意見には耳を傾けて、自分の商品サービスの向上に役立てていきましょう。
顧客リサーチはどれくらいの人数が必要か?
では、実際に何人に聞けばリサーチできるでしょうか?実はそれほどたくさんの人数は必要ありません。極端に言えば、一人目、二人目、三人目で共通点が見つかれば、それで終了しても良いのです。そこで見つからなければさらに1人、もう1人と、少しずつお客さんを増やしていくと、必ず共通点があります。それが自分の勝ちパターンになります。
上手くいくパターンが見つかったら、それは、上手くいかなくなるまで変えません。上手くいく、いかないというのも感覚ではなく、きちんと数字を把握するクセをつけていきましょう。
声をかけた人数、返事があった人数。共通点があった人数。購入した人数。かかった日数や時間、全て数字で把握できます。これも起業家、経営者として大切なことです。
同じ市場の競合他社をリサーチする
自分のお客さんになる人はどこにいるか、考えてみてください。答えを言うと、競合他社つまりライバルのところです。そうは言っても、ライバルのお店からお客さんを連れてくることは簡単ではありません。ではどうすればいいか。あなた自身がライバル店のサービスを受けてみてください。美容院なら価格設定・サービスの内容・雰囲気などを調査したり、口コミやお客様の声といった情報を集めることもできます。
なぜライバル店が良い結果を出せているのか、相手の強みを書き出してみます。それに対して自分の打ち手、対策を考えてみましょう。次に、相手の弱みも書き出してみます。どんなに良い商品・サービスでも、完璧というものはありません。ライバル店のお客様の不満やフラストレーションが見つかったら、それをカバーできるサービスが自分のお店で提供できないか、解決策を考えてみましょう。
ライバル店の強みへの対抗策を打ち出し、弱みの解決策が提示できれば、勝てます。ライバルに差をつけることができるので、ライバル店からお客様が流れてくる可能性も大いにあります。くれぐれも注意していただきたいのは、自分が狙っている市場と同じ市場のライバルをリサーチすることです。違う市場を調べても見込み客も違えば、その人たちの現実、悩み、願望が全く違うので、意味がないことになってしまいます。
自社の商品をテストする
顧客や市場、競合のリサーチを踏まえ、自社の強み弱み、市場における自社の独自性や希少性・経済価値などを分析して、商品を作ってテストしていきます。商品が売れない、見込み客が買わないのには理由があります。価格が高いのか、何か不安要素があるのか、それを調べて解決策を考えます。
商品自体の品質や機能に問題がある場合はほとんどありません。なぜなら、お客さんはまだ商品を買っていないからです。お客さんは商品そのものではなく、商品を買って使った後の結果が欲しいのです。買わない理由の解決策は、商品そのものの機能改善ではなく、結果にフォーカスして、どうすれば補えるかを考えます。多くの場合、特典やオプションをつけることで補えます。
3C 分析は多くの企業やチームで使用されている人気のフレームワークですが、分析に時間をかけすぎては、売れるものも売れなくなります。業界は常に動的で、トレンドや世論、消費者のニーズもどんどん変化します。いくら徹底的な分析を行っても、収集した情報が “時代遅れ” になってしまっては意味がありません。時流というものを逃さないスピード感も重要です。
まとめ:売れる商品はリサーチしないと作れない
ここまでビジネスの成否、売り上げを左右するリサーチについて解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- 品商を先に作るのではなく、狙った市場の見込み客の願望・悩みを聞いて、それに合った商品を後から作って提案すれば、成約できる可能性が高くなる。
- 顧客リサーチとは、お金を払ってくれたお客さんの声を聞くこと。その中で共通点を見つけたら売れる商品になる。
- ライバルのサービスを自分で受けてみる。ライバルの強みに対抗できる策、ライバルの弱みを解決する策を取り入れれば、ライバルに勝てる。
- 買わない理由は商品そのものが問題なのではない。お客さんの得たい結果にフォーカスして、何を補えば良いかを考える。